LGBT本紹介

子どもの性別違和の兆候、どう対応すればいい?【幼少期~中学生】

子どもの性同一性障害に向き合う

女の子なのにスカートを履きたがらない…
男の子なのに化粧品を勝手に使ってるのかも…
もしかして性同一性障害なのかも…

本人に聞きづらいし、受け止めきれるかもわからない。私の対応が間違ってるのかも。

そう思っていませんか?

子どもの言動に性別違和の兆候を感じている方に向けて、『子どもの性同一性障害に向き合う』の著者はこのように言っています。

※性同一性障害:生まれた時の身体的性別の特徴と自分の性別に関する認識が一致していない状態。日常の社会生活に重大な支障が生じてしまっている場合のこと。

わかるだろうか、間違っていないだろうか……。そんな不安や心配を抱く必要はありません。誰もが最初は白紙の状態から歩みを始めるのですから。本書を手に取ってくださっていること、それこそが、すでにあなたがスタートラインに立っていることを教えてくれています。

『子どもの性同一性障害に向き合う』はじめに より

周りの子どもと違うかも?というお子さんに対して、初めから完璧に対応できる人はいません。

性別違和の兆候を察知してからがスタートだという気持ちで、必要な情報を取り入れながら対応しても遅くはないですよ!

今回は、『子どもの性同一性障害に向きあう』の中から、Chapter3『事例にみる性同一性障害当事者の声』に注目します。

筆者が実際に相談を受けた6つの事例から、幼少期・小学生・中学生でどのように対応すればいいか、おのずと見えてくるはずです。

子どもの性別違和の兆候とその対応

子どもと一括りにしても、幼少期、小学生、中学生で性別違和の度合いやその切実さなどが大きく異なります

それぞれの時期に分けて、性別違和の兆候と、周りにいる大人がどう対応すればいいかを紹介していきます。

幼少期

幼少期は、まだ自分のことがよくわかっていない時期

性別の違いや自分の性別をしっかり認識できるようになるのは、早くても就学後だそうです。

そんな幼少期でも、性別違和の兆候だと思われることはあります。

どんな兆候が見られる?

幼少期に見られる性別違和の兆候として、2つの事例をご紹介します。

<事例1>

身体的性別では女の子ですが、やることが男の子っぽい4歳のお子さんの場合、

女の子たちがおままごとやお姫様ごっこで遊んでいても、一切混ざろうとしません。元気がいいだけならいいのですが、あまりに女の子と遊びたがらないので、妻が非常に心配しているんです、もしかしたら、この子は自分のことを男の子だと思っているんじゃないか、って。

『子どもの性同一性障害に向き合う』Chapter3 事例にみる性同一性障害当事者の声 より

子どもの頃の遊びは、男の子向け・女の子向けとイメージされるものもありますよね。

男の子なら、ヒーローごっこや乗り物のおもちゃなど。
女の子ならおままごとやぬいぐるみなど。

この女の子の場合は、女の子の遊びをしないことが性別違和の兆候ではないのか?と思われているようです。

<事例2>

身体的性別が男の子だけど、女の子の服装に興味を持つお子さんの場合、

一緒にお洋服を買いに行くような時です。うちの子は、スカートとかブラウスとか、女の人の服装に憧れているみたいなんです。お店に入ると、私の手を引っ張って女性もののコーナーに寄っていきます。子ども服売り場でも一緒です。

『子どもの性同一性障害に向き合う』Chapter3 事例にみる性同一性障害当事者の声 より

服装も、幼少期から男の子向け・女の子向けとデザインが違うことが多いですよね。

このお子さんの場合は、あまりに着たがるので、家の中ではお姉ちゃんのおさがりを着ているようです。

その他にも、

実は、相談したいと思った一番のきっかけは、先日お風呂場でのことなんです。うちの子をさきに脱がせて待たせている時です。自分のおちんちんを引っ張って、『これはいつとれるの?』と聞いてきたときには……。

『子どもの性同一性障害に向き合う』Chapter3 事例にみる性同一性障害当事者の声 より

このように身体がお姉ちゃんやお母さんと違うことに疑問を持ち始めているようです。

まだ幼く、苦しい様子ではないそうなので、単純に疑問を持っただけかもしれません。

性別違和の兆候かどうかわからなくても、親としては「どう反応したらいいの?」と困惑してしまうかもしれませんね。

どう対応したらいい?

幼少期の兆候として紹介されているものは、男の子っぽさ、女の子らしさに関することにとどまっています。

思い悩んでいる様子もないことが多く、性別の違和感というよりは、身近にいる大好きな人と同じになりたいという気持ちなのかもしれません。

そのため、この段階で性同一性障害かを判断することは難しいです。

では、具体的にどう対応すればいいのでしょうか?

本で紹介されている対応をまとめると、

  • 服装など、関心を持ったものに”ダメ”というのではなく、できるだけ気持ちに寄り添う
  • 認められないことであれば、関心を持ってくれそうな代案を伝える
  • 「あなたは男の子/女の子なんだから」というような表現は避ける
  • 性同一性障害かもと決めつけずに、お子さんの表情や姿をよく見守る
  • 周囲の人には、「うちの子は性同一性障害かもしれない」ではなく、「私と一緒が良いみたいなんです」程度の説明にしておく

幼少期は「したいこと」・「好きなこと」をストレートに表現します。

一方で、深く思い悩むことが少なく、普段は楽しく過ごしている場合もあります。

お子さんの要求しそうなことを先回りして対応するのではなく、言動・表情を注意深く見ておくことが一番良いのではないでしょうか。

そして、いつかお子さんが本気で悩むようになった時、それを隠されるのではなく、話してもらえる関係性を築いていくことが大切です。

小学生

小学生は、第二次性徴期が始まるころです。

子どもが自分の体形などの変化に敏感になり、それに関連した悩みを持ち始めることがあります。

どんな兆候が見られる?

筆者は性別の不一致には2種類あると主張しています。

  1. 『本人が認識している性自認』と『他者あるいは社会が認識している性別』との不一致
  2. 本人が認識している『身体的性別』と『性自認』との不一致

小学生から第二次性徴が始まることにより、幼少期に比べて、2つ目の「本人が認識している『身体的性別』と『性自認』との不一致」に悩むことも多くなります。

この時期に見られる性別違和の兆候として、2つの事例をご紹介します。

<事例1>

身体的性別が男の子(小学2年生)ですが、男子トイレに入りたがらない場合、

最近やっと、男の子と並んでトイレをするのが嫌だってことがわかりました。それでトイレを最後まで我慢しているようです。友達は女の子が多いので、その子たちと一緒に女子トイレに行きたいって言っています。

『子どもの性同一性障害に向き合う』Chapter3 事例にみる性同一性障害当事者の声 より

服装も男の子の格好ではなく、女の子の格好を好んでおり、中性的な服装をすることで対応していたそうですが、小学生になって新たに、トイレに入りたがらないという兆候が見られるようになったようです。

学校生活で困難が生じており、本人も嫌だという意思があるので、普段あまり使われていないトイレを使うなど具体的な対策が必要になります。

<事例2>

身体的性別が女の子(小学5年生)で、身体が成長し始めてから様子が変わった場合、

明らかに様子が変だなと思い始めたのは、林間学校に向けて女子だけを集めて行われた生理用品の説明会に参加してからです。その直後から元気がなさそうだったのですが、翌日珍しく休んだと思ったら、その後ぽつぽつと休む日が多くなってきました。

『子どもの性同一性障害に向き合う』Chapter3 事例にみる性同一性障害当事者の声 より

普段は活発に遊ぶ子なのに、少し膨らんできた胸を隠すようにコソコソする、生理の説明を受けてから元気がないなど、自分の身体に対する違和感が出てきたのかもしれませんね。

誰に悩みを相談していいかもわからず、一人で悩みを抱えているのかもしれません。

どう対応したらいい?

幼少期に比べて、困難が顕在化してくる小学生の時期でも、まだ性同一性障害とは断定できません

しかし、学校生活などで困難が生じることがあるので、解決策や代替案を子どもと一緒に考えていく必要があります

具体的には、以下に示すような対応をしてあげると良いのではないでしょうか。

  • 子どもにとって一番話しやすい人が話を聞いてあげる
  • 周りの大人が、同性/異性にこだわらずに、子どもが自分の居場所や役割を実感できる機会を多く作る
  • 予防しようとするのではなく、何か困難が起こったときにそれを察知し、解決策を考える
  • 聞き出そうとするのではなく、”あの人になら話せるかもしれない”と思ってもらえる土壌づくりをする。
  • 多様な性の在り方を学ぶ機会を設ける

特に小学生の頃は、「自分だけがおかしいんだ」と思い、身近な人にどの話していいかもわからず、口を閉ざしてしまうこともあります。

そのため、悩みを打ち明けやすい土壌づくりは特に重要です。

中学生

中学生になると、本格的に第二次性徴期を迎えるため、男子と女子との違いが顕著になり、性別の違和感による悩みや精神的苦痛は増えていきます

また、性に興味を示したり、恋愛の話を頻繁におこなうようになる時期でもあります。

どんな兆候が見られる?

中学生に見られる性別違和の兆候として、2つの事例をご紹介します。

<事例1>

身体的性別が女性(中学1年生)でも、セーラー服を着たがらない場合、

妹はどうもその制服の扱いがぞんざいで、帰ってくると、まさに脱ぎ捨てるっていう感じです、私服ではそんなこと全くありません。それでさっきの話とつながるんですけど、最近、鏡とか全く見ないのは制服を着ている時なんだって気づいたんです。それとなく母に聞いてみて、ブラジャーとか生理用ショーツとかも嫌がってるって知って、これはもうこの前テレビで見た性同一性障害なんじゃないか、って。

『子どもの性同一性障害に向き合う』Chapter3 事例にみる性同一性障害当事者の声 より

中学校の多くは指定の制服があり、男女の区別が明確なことが多いです。

そのため、自分の性別への違和感が顕在化することも少なくありません。

<事例2>

身体的性別が男性(中学2年生)でも、幼馴染と女同士のような関係である場合、

学校の友達とはほとんど交流がないようなのですが、むかしから仲が良かった幼馴染の女の子がいて、その子と遊んでいる様子を見ていると女の子同士みたいなんです。テレビで男の子のアイドルを見て騒いでいたり……

『子どもの性同一性障害に向き合う』Chapter3 事例にみる性同一性障害当事者の声 より

中学生くらいの思春期には、特に男子生徒は性に関して高い関心を示すことが多いですよね。

周囲の同性の会話についていけず、友達とうまく関係が築けていないのかもしれません。

どう対応したらいい?

中学生になると、身体的性別とは反対の性別らしい言動をしたとき、いじめやからかいの対象になりやすいです。

いじめを受けることで、強い自己否定感が募ることがあります(特に身体的性別が男性である場合に多い)。

そのため、<事例2>のように、気兼ねなく自分の好きなものを好きと言える相手は、かけがえのない存在です。

お子さんの生き方・過ごし方の善し悪しを勝手に判断せず、本人にとってより安心できることを尊重すると良いのではないでしょうか。

さらに、近年では性別の違和感や悩みについて、軽減させるための手段・方法をインターネットを通じて簡単に知ることができます。

自分の望む性別で生活できるならと、思い切ってカミングアウトする事例も増えているようです。

しかし、持って生まれた身体的性別によって、性別の移行やカミングアウトのタイミングが異なる傾向にあります。

<身体的性別が女性の場合>
多くの人はまず友人や親などにカミングアウトをしてから性別移行をする

<身体的性別が男性の場合>
女性の下着をつけたり化粧をするなどの具体的な行動をしてから、それが誰かの目に留まってカミングアウトに至ることが多い。

また、中学生になると、自分なりに試行錯誤して、身体的性別への違和感を減らそうとすることがあります。

一つ一つの言動を取り上げて判断せず、本人なりの苦しみに寄り添うことを心がけてください。

今回紹介した本の基本情報

読者の皆さんが、性別違和感や性同一性障害を抱く子どもたちについてよりよく理解できるよう、私が心理臨床家として触れてきたいくつかの相談事例などを紹介していきます。そして、そうした子どもたちを理解し、本人たちのよりよい未来を共に考えていく上で、知ってほしいことやポイントについても記しました。

『子どもの性同一性障害に向き合う』はじめに より

『子どもの性同一性障害に向き合う』では、今回紹介した、性別違和の兆候やその対応だけでなく、今後お子さんに打ち明けられた時のための準備や心構えも紹介されています。

そのため、子どもが助けを求てきた時に、動揺することなく向き合うことができます

さらに、「性別の違和感を取り除くためのアプローチ」や「子どもの性別違和感について相談できる社会的資源」も紹介されているので、いざという時に頼りになる一冊です。

<著者情報>

西野明樹あき
日本最大規模を誇る性同一性障害の当事者団体、一般社団法人gid.jpの代表理事。
臨床心理士、心理学博士として、性同一性障害当事者のための心理学的研究に10年以上携わっている。

ABOUT ME
deidei
ひっそり埋没しながら暮らしているFTM(女→男に戸籍変更済み)です。 女性として地方で生活→就職のため都会へ→現在は、男性サラリーマン街道邁進中!(7年目) 環境を変えることで、少しずつ、自分らしく生きれるようになりました。 FTMとして生活する中で学んだことや自分自身の経験を、わかりやすく発信していきます。