FTMの体験談一覧

FTMが男性として就職した方法【体験談】

FTM 就職 体験談

戸籍上は女性なんだけど、男性として働きたい。
他のFTMはどうしてるんだろう?

【deidei】

私も就職するときは、戸籍の性別が女性でした。それでも工夫しながら就職活動して、男性として就職できました。
今回は、私がどのように就活をしたのか、入社した会社ではどのように扱ってもらえたのかをご紹介します。

FTM(女性として生まれたが、性自認は男性)と言っても、私のように戸籍の性別変更まで目指す方もいれば、手術やホルモン注射などの治療だけおこなう方、まったく治療しない方など様々です。

当然、一人一人、どのように扱ってほしいかも違ってきます。

『今回ご紹介する対応=トランスジェンダーへの対応』とは言えません。
あくまでFTMの場合の一例として参考にしていただければ嬉しいです。

就職時の性別移行状況

私が就職した時の状況を簡単に紹介しますと、

  • 国立大 4年生  
  • 戸籍上の性別は女性  
  • 大学3年生の時に性同一性障害の診断書を取得
    診断書取得後、男性ホルモン注射開始  
  • 乳房切除・子宮卵巣切除はまだしてない(これからする予定)  
  • 見た目だけだと男性に見られることが多い  

お恥ずかしながら、就職への不安があり、就職活動を本気でやってませんでした。

最終的に入社した会社以外では、地方公務員の採用試験を受けましたが、最終面接で不採用となってます。

就職先の決まらず、このままフリーターでいいやと思っていた大学卒業間近。

私が通っていた大学に求人案内が届き、研究室の先生に勧められて採用試験を受けることになりました。

就職した会社の概要

少しぼかして会社の紹介をします。

  • 関東、関西に事務所を構える中小企業  
  • 基本的にデスクワーク  
  • 社員の9割が男性社員  
  • 年齢層は、40歳以上が多い

履歴書作成

履歴書を書くにあたって、志望動機・自己PRよりも悩んだのは、個人情報欄

特に名前・性別・証明写真の3つです。

大学では、一応女子学生として通っていたけれど、これから手術をしたり戸籍の性別を変更する予定だったため、初めから男性社員として扱ってもらいたいと思っていました。

今までの経験から、初対面で女性だと紹介した後、男性として扱ってほしいと言うのは、相手を混乱させるし、性同一性障害であることを説明する必要があります。

また、見た目はほぼ男性に見られることが多いので、女性だと伝えるとびっくりされてしまうのではないかとも思います。

それだけでなく、私自身もそんな対応をするストレスが限界に近くなっていました。

さらに、社会人になると社外の人とも関わる機会が増えることも予想できました。

社外の人とは、私の個人的な事情を説明する時間はあまりないため、途中で性別や名前が変わりましたと伝えることのハードルが高いです。

このように、かなり悩んだ結果、履歴書にはできるだけ女性だということを主張しない書き方をしました

私が実際にどのように記入したのか、具体例を紹介します。

名前

私の名前は、「~子」や「~美」とは違いますが、だれが見ても女性だと思う名前です。

だけど、あるプロ野球選手の名前に出会ってから、自分の名前も男性的な読み方ができると気づき、本人確認書類が必要ない場合や免許証での本人確認でいい場合などは、名前の漢字はそのままで読み方だけ変えて使っていました。

そのため、履歴書の名前は、漢字のみ記載し、フリガナは記入しませんでした

性別

一般的な履歴書では、性別欄を男/女のどちらかに○して記載するところがあります。
(※現在では、性別欄を廃止する方向で変わりつつあります)

私の場合は、どちらも○を付けませんでした

証明写真

証明写真は、一般的にリクルートスーツを着て撮ったものを貼り付けますが、私の場合は男性用/女性用のどちらを着て撮ればいいのか悩みました。

男性として生活していた時期が長く、最後にレディーススーツを着たのは大学の入学式。

今更、化粧をしてレディーススーツを着て写真撮ることにとても抵抗がありました。

でも、履歴書を出す時点では、カミングアウトするかも悩んでいたため、メンズスーツをきっちり着て、男ですと主張する勇気もありません。

そのため、メンズスーツを着て、ネクタイを外し、シャツのボタンを一番上まで留めるという、中途半端な服装で写真を撮りました。

髪形は、刈り上げはせず、耳にかかるかかからないかぐらいの長さにしました。

運動部に所属してそうな女性にも見える髪形のイメージです。

採用試験での対応

履歴書を提出してすぐ、採用試験(筆記試験+面接)をしたいと連絡がありました。

履歴書を提出してから数日間考えた結果、
男性として扱ってもらえないくらいなら、採用されなくてもいい!
と、自分がどうしたいのかはっきり決まったので、採用試験にはメンズスーツ(ネクタイあり)を着て会社に向かいました。

初めて対面した時の反応

私の採用試験の対応してくれた総務部長と初対面。

履歴書ではネクタイを付けていませんでしたが、面接ではネクタイを付けていたので、「あれ?」と不思議そうな反応でした。

その時に、性同一性障害であることを少し話しました。

総務部長は驚いてはいたものの、追い返されることもなく、無事採用試験を受けることになりました

面接での反応

筆記試験をした後に面接をおこないました。
面接官は社長・社長代理・配属予定の部の部長・総務部長の4人。

一般的な面接の雰囲気で始まり、自己PRや志望動機など一通り話した後、お互いに質問しあう時間があったので、その時にカミングアウトしました。

私が伝えたのはこの2つ

  • 性同一性障害であること
  • 男性として扱ってほしいこと

カミングアウトした時の反応は、『仕事さえしっかりしてもらえれば問題ない。』といったものでした。

それ以外には、友達はいるかとか、大学の授業がないときにスポーツをしてた話とか、親の話とかをして面接が終わりました。

(通常、親の話などのプライベートな質問は、面接では聞いてはいけないらしいのですが、、、)

性同一性障害であることはあまり気にしていない様子だったので、少しホッとしました。

入社前の対応

無事、採用の連絡が来た時に、事前にどんな対応をしてほしいのか聞いておきたいとの申し出があったので、入社前に総務部長と総務の担当者と話をする機会を設けてもらえました。

事前に考えていた4つの項目について伝えたところ、すべて快諾してもらえました。

  • 服装はメンズスーツを着たい
  • トイレ、更衣室などの設備は男性用を使わせてもらいたい
  • 名前は、漢字の読み方を変えた方を使いたい
  • ほかの社員には特にカミングアウトしない

入社後の対応

実際に、入社後どのように対応してもらえたか簡単に紹介します。

名前

私の名前は読み方だけ変えれば問題なかったため、名刺のフリガナは希望のフリガナにしてもらいました

そもそも、社員証・入館証はなく、メールアドレスも『”名字” @ ”会社名” .co.jp』だったので、社外の人などに自己紹介する時か、学会に投稿する論文ぐらいしかフリガナを使う時がありませんでした

建設現場で着る作業着も名字のみの刺繍でした。

服装

仕事中は、基本的にスーツまたは作業着でした。

スーツはメンズスーツの着用OKをもらえたので、毎日メンズスーツで通勤しました。

作業着は男女兼用なので全く問題ありません。

手術後、傷の痛みが少し残っていたので、スーツではなく少しラフな服装で出勤してもいいか相談したところ、それも受け入れてもらえました。

トイレ

職場のトイレは男女に分かれており、障害者優先トイレ・誰でもトイレなどはありません。

私は男性用のトイレ使わせてもらえました。

更衣室

更衣室も男性用を使いました

更衣室と言っても、事務所フロアの隅の方にロッカーが並んでるだけで、一部の席の人からは、着替えているところが見えるので、初めて着替えるときはドキドキしました。

(女性用更衣室は、反対側の隅にロッカーを置いて、カーテンで仕切って見えないようにしている)

かなり狭いので、自主的にほかの人とあまりかぶらないように調整して使っています。

上司の対応

カミングアウトしている直属の上司は、ほかの同僚と同じように『~君』と呼んでくれます

年2回面談するときは、体調に問題ないか、困ってることはないかなど聞いてくれて、手術後の服装のように、実際に対応してくれます。

本当に上司には感謝しかありません。

手術時の対応

乳房切除と子宮卵巣摘出を分けて行ったため。2度の長期休暇(有給休暇)を取得しました。

どちらも10日程度です。

仕事は、1か月以上のスパンの業務が多く、任されている仕事がちゃんとできていれば問題ありませんでした。

手術する日程を事前に説明していたことと、繁忙期を避けていたこともあり、反対されることなく、長期休暇を取得できました

福利厚生など

就業規則には同性パートナーでも適応するとは書いてないですし、私自身は戸籍の性別変更したため、話をする機会がありませんでした。

まとめ

ということで、今回は以上です。

私の勤めている会社は、差別禁止規定やLGBT研修なども実施してないですが、私個人が働きやすい環境を作ってくれました

特別に相談窓口を設けなくても話しやすい雰囲気もあります。

カミングアウトしている社長や上司以外の同僚も、LGBTに対して差別的な言動がほとんどありません

私が男性用トイレでいつも個室を使っていても、からかってくる人もいません。

LGBTフレンドリー企業と発信してはいないけど、私の勤めている会社のように、一人の社員として、尊重してくれる会社はあると思います。

この体験談が、これから就職される方の後押しになれば嬉しいです。

また、これから会社でLGBT対応(特にトランスジェンダー)を担当している方には、トランスジェンダーの一例として参考にしていただけますと幸いです。

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【deidei】

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ABOUT ME
deidei
ひっそり埋没しながら暮らしているFTM(女→男に戸籍変更済み)です。 女性として地方で生活→就職のため都会へ→現在は、男性サラリーマン街道邁進中!(7年目) 環境を変えることで、少しずつ、自分らしく生きれるようになりました。 FTMとして生活する中で学んだことや自分自身の経験を、わかりやすく発信していきます。
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